スマホ1台
29歳。自己破産して半年。うつ病の真っ只中。2023年の夏。
持ち物をリストアップしたら5秒で終わった。スマホ1台。財布(中身ほぼゼロ)。処方された薬の袋。着替え3セット。のあ(黒トイプードル)。
金がない。仕事がない。社会的信用がない。あるのはスマホの充電と、かろうじて払ってる Wi-Fi だけ。
毎日やることが何もない。朝起きる。天井を見る。のあを散歩させる。飯を食う。天井を見る。薬を飲む。寝る。
その繰り返しが壊れそうだった。人と喋りたかった。でも外に出る気力がない。友人に連絡する勇気もない。「最近どう?」って聞かれて「自己破産しました」って言えるわけねえだろ。
配信を始めた理由
YouTube LIVE を始めたのは、2023年8月のある夜中3時のことだった。
眠れなくて、YouTube を開いてた。おすすめに流れてきた LIVE 配信。20代の男が一人で雑談してた。視聴者30人くらい。
「これなら俺でもできるかもしんねえ」
それだけ。志もビジョンもクソもねえ。ただ、人と喋りたかっただけ。うつ病の人間が深夜3時に一人で天井見てる生活から逃げたかっただけ。
選んだ理由は3つ。
- 初期費用ゼロ。スマホ1台ありゃできる
- 顔出し不要。当時は人と目合わせんのも怖かった
- リアルタイム。誰かと繋がれる感覚が、うつの俺には必要だった
YouTube を選んだ理由は単純で、配信の制限が一番ゆるかった。TikTok LIVE はフォロワー1000人以上必要。Twitch はゲーム配信がメイン。YouTube ならアカウント持ってりゃ即時配信できる。
最初の配信: 視聴者0人
配信ボタンを押した。
画面にはカウンターが表示される。視聴者数: 0。
「えーっと……こんばんは。きこにいです」
誰もいない部屋で誰に向かって喋ってるのかわかんなかった。でも喋り続けた。
10分経過。視聴者数 0。
20分経過。視聴者数 1。サブ垢じゃない。誰か入ってきた。
30分経過。視聴者数 2。
たった2人。でも、その2人が「がんばれ」「応援してます」ってコメントしてくれた。
たった4文字。でも、それで続けられた。あの4文字がなかったら今の俺はいねえ。
最初の1ヶ月で学んだこと
毎日2時間、YouTube LIVE を続けた。
最初の1週間、視聴者は3-5人。同じ顔ぶれ。コメント欄で名前を呼んで、雑談して、また明日って言って終わる。
でも、その関係性が増えていった。1ヶ月で常連が15人くらいになった。
配信始めて気づいたのは、「人の話を聞くこと」の価値だ。
借金の話をすると、「実は俺も...」ってコメントが来る。離婚した奴、リストラされた奴、病気で働けねえ奴。
世の中にこんなに苦しんでる人間がいんのかよって驚いた。そして、そいつらが「きこにいの配信見て元気出た」って言ってくれる。
自分が誰かの役に立ってる。うんこ製造機じゃねえ。この実感が、何よりの薬だった。どんな抗うつ剤よりも効いた。
YouTubeで月20万まで伸ばした
半年で登録者1000人を突破した。1年で5000人。スーパーチャットの収益が出始めた。
平均月収: 5万 → 10万 → 15万 → 20万。少しずつ伸びた。
でも、頭打ちが来た。月20万のラインを超えられなかった。
YouTube LIVE で20万を超えるためには、毎日3時間以上配信して、視聴者の濃度を上げないといけない。コメント返す、リクエストに応える、企画考える。配信中以外もずっとリプ返してた。
それでも20万。生活はギリギリ。
TikTok LIVE への移行
2025年10月。TikTok LIVE に移行した。
理由は単純で、TikTok の方がギフト経済の母数がデカい。YouTube のスーパーチャットは「がっつりファン」しか投げない。TikTok のギフトは「通りすがり」が投げる。母数が違う。
YouTube で2年やって培った「人と喋るスキル」を、TikTok の母数の大きい場所に持っていけば、月収が上がる。
実際に上がった。これは別の記事で書く。
29歳の俺へ
29歳の俺は、スマホ1台で深夜3時に YouTube LIVE 始めた。
何の戦略もなかった。ただ、人と喋りたかっただけ。
でも、あの「視聴者2人」の配信が、今に繋がってる。
何かを始めようとしてるやつへ。完璧な準備なんかいらない。スマホ1台あれば配信は始まる。視聴者ゼロでも喋り続けろ。1人来るまで、3人来るまで、続けろ。
「視聴者数より継続日数」。これが配信の真理だ。
1人の視聴者から始めた話の続きは、アジト(無料のDiscord)で。名前は聞かねえ。いつ抜けてもいい。
